分割民営化から間もない1989年、東海道線豊橋−岐阜間で最高速度120km/hの新快速を運転し、同区間で競合している名鉄に対するアドバンテージとする目的でJR東海が新製した車両。2年間で4両編成15本、計60両が製造された。
登場から10年が過ぎ、1999年に後継となる313系が投入されると、311系は新快速運用から離脱。さらに2006年には313系5000番台の追加増備が行われ、311系は普通列車のみの運用となった。ただし、現在でも臨時や代走で快速などに運用されることはある。
車体やシステムは211系5000番台を基本として、ブレーキ強化やヨーダンパの設置など、120km/h運転を行うための改良が施されている。また、先頭部は211系の平らな表情とは違い、若干の傾斜をもったデザインとなっている。前面から側面にかけての帯も緑色がなくなり、コーポレートカラーであるオレンジのみとなった。この外観は同社の以降の普通車両(キハ75形や313系など)に引き継がれている。
車内は転換クロスシートで、車端部にはLEDによる案内表示器を備え、停車駅などの案内を行う。またクハ310には近郊型としては初めてカード式公衆電話が設置されたが、携帯電話の普及などにより2007年に使用停止となり、順次撤去が進められている。