特急<ひだ>・<南紀>に使用されていたキハ80系の置き換えを目的として、国鉄の分割民営化後にJR東海が初めて新製した車両。
山岳線である高山線を電化せずに高速化するためには、気動車に高出力エンジンを搭載するのが手っ取り早い。しかし、国鉄の気動車に使用されていた国産エンジンでは実現が難しかったため、キハ85系には海外、米国カミンズ社のエンジンが使用されている。従来のキハ80系のエンジンが1基あたり出力180ps×2基/両だったのに対し、キハ85系のエンジンは350ps。これを1両に2基搭載している。
この約2倍の力の差が登坂性能や最高速度に現れており、また並行して進められた高山線の軌道改良もあわせて、<ひだ>全列車がキハ85系化された1990年3月のダイヤ改正では、名古屋−高山間の所要時間が約30分短縮された。
また、沿線の風景を満喫できるように窓の天地寸法を大きく取り、383系・373系へと続く「ワイドビュー」特急のスタートを切った。また、ステンレス車体にコーポレートカラーのオレンジを巻いた塗色は、371系を除いた以降の同社在来線車両の標準となっている。